Tottenham Hotspur FC
Tottenham Hotspur FC
――ポステコグルーとともに頂点へ
生まれ変わった北ロンドンの雄――
■ 創設 | 1882年
■ ホームタウン | ロンドン
■ ホームスタジアム | トッテナム ホットスパー スタジアム
■ 代表 | ダニエル レヴィ
■ 主な獲得タイトル |
フットボールリーグ優勝:2回
FAカップ優勝:8回
リーグカップ優勝:4回
FAコミュニティシールド優勝:7回
UEFAカップウィナーズカップ優勝:1回
UEFAカップ優勝:2回
5年前にリーグ2位の収容人数を誇る新スタジアムを完成させ、プレミア初優勝への下地を整えたロンドンの強豪。昨季は絶対的エースのFWハリー ケインが退団するも、ポステコグルー新監督の下で粒ぞろいのメンバーが小気味よいサッカーを展開し、シーズン序盤は首位を快走した。最終的には5位でUEFAチャンピオンズリーグ出場権を逃したが、1961年以来となるトップリーグ制覇に向けて新シーズンはさらなる飛躍に期待が寄せられる。
FW-7
笑顔がまぶしい韓国代表のキャプテンは昨季からクラブでも腕章を託され、抜群の得点力で攻撃を牽引する。2021-22シーズンは23ゴールでプレミア得点王に。アジア人が欧州5大リーグで得点王に輝くのは初の快挙だった。両足のシュート精度に定評があり、逆足でのゴール数は過去15年間でプレミア最多を誇る。昨年、英国を国賓訪問した韓国のユン ソンニョル大統領も「英国はベッカム、韓国はソン フンミン」と議会の演説でエースの名前を出していた。
MF-10
昨夏レスターから4000万ポンドで移籍した10番はトップ下として攻撃のタクトを振り、即座に結果を残した。狭いエリアでパスを受けると一瞬で反転して絶妙なキラーパス。自らもゴール前に侵入して創造性あふれるプレーで決定的な仕事をする。今夏のEUROはイングランド代表から落選したが、昨季は間違いなくプレミアリーグ序盤戦の主役だった。お馴染みとなったダーツを投げるゴールパフォーマンスは他チームの選手が真似するほど密かなブームに!
DF-37
強靭な体躯と圧倒的なスピードで広範囲をカバーする左利きのセンターバックは、加入1年目から守備の要に定着してクラブ年間最優秀選手に選ばれた。最終ラインの裏を取られても快速を飛ばして追いつき、今年1月にはプレミアリーグのスプリント速度で歴代最速となる時速37.38kmをマーク。父親は元覆面捜査官で、逃亡する参加者を捕まえるオランダのリアリティ番組に捜査官役で出演して人気者に。抜け出そうとした敵を捕まえるのは父親譲りか?
GK-1
GK-20
GK-40
GK-41
GK-46
DF-6
DF-12
DF-13
DF-17
DF-23
DF-24
DF-33
DF-35
MF-4
MF-8
MF-14
MF-15
MF-18
MF-29
MF-30
MF-45
MF-55
MF-73
FW-9
FW-16
FW-21
FW-22
FW-27
FW-36
FW-44
FW-59
FW-62
FW-63
Jから世界へ飛び出した変革者
“アンジェ ボール”が英国席巻
監督
2019年に横浜F・マリノスでJ1を制したオーストラリアの戦術家は、欧州に渡っても結果を残している。スコットランドの名門セルティックでは日本人プレーヤーを主軸に据えて2年間で5冠。昨夏トッテナムにやってくると“アンジェ ボール”と呼ばれる高いDFラインと選手たちが連動するビルドアップを浸透させてファンを魅了。大旋風を巻き起こし、開幕から3カ月連続で月間最優秀監督に選ばれるプレミアリーグ史上初の快挙を成し遂げた。
7つもロンドンのクラブが点在するプレミアリーグでは、ほぼ毎週末のようにロンドンダービーが開催される。ロンドン北部のトッテナムにとって最大のライバルと言えば、距離にしてわずか6kmに位置するアーセナルだ。日本代表DF冨安健洋が所属するアーセナルとの一戦は「ノースロンドンダービー」と呼ばれ、国内有数の熾烈なライバル関係として知られる。2023-24シーズンの対戦は1戦目が2-2、2戦目が2-3。とにかくゴールが飛び交う激しいダービーで、最近60回の対戦でゴールレスドローはわずかに1度しかない! トッテナムは地理的には少し離れている西ロンドンのチェルシーともライバル関係にあり、1987年から19年間もホームでチェルシーに勝てず、敵サポーターから旧本拠地ホワイト ハート レーンを「スリー ポイント レーン」と揶揄された時期もある。ロンドン勢でリーグ優勝を経験しているのはこの3チームだけで、彼らがいわゆるロンドンの“ビッグ3”だ。
ケンブリッジ大学出身のダニエル レヴィ会長は、1990年代に投資会社を共同設立すると、トッテナムを買収して2001年に39歳で会長に就任した。当時チームは宿敵アーセナルに後れを取っていたが、それから20年で飛躍的に成長。クラブチームの長者番付「デロイト フットボール マネーリーグ」の最新版ではアーセナルやチェルシーを抑えて世界8位につけている。就任当初から明確なビジョンを有していたレヴィ会長は、健全経営を掲げながら近代的な練習施設や世界的スタジアムの建設まで実現し、2019年にはUEFAチャンピオンズリーグ決勝にも進出。移籍の交渉では一歩も譲らない敏腕として知られ、主力選手を売却する際には可能な限り値段を吊り上げ、マンチェスター・ユナイテッドのアレックス ファーガソン元監督をして「臀部の手術よりも大変な交渉」と言わしめた。そんなビジネスマンだが生粋のスパーズサポーターであり、OB選手たちの生活をサポートする基金を設立するなど情にも厚い。
ポステコグルー監督はサービス精神が旺盛で会見でも語尾に「mate(友よ)」とつけて記者とのフランクな会話を楽しむ。若い頃にリヴァプールファンだった彼は昨年9月の対戦で「今もファンか?」と問われて「先週ポスターを剥がしたよ!」と笑ってみせた。偽サイドバックの戦術について聞かれた際は「ただペップ(グアルディオラ)を真似しているだけ!」と冗談。セルティック時代のグラスゴーのライバル関係については「Amazonの配達員がレンジャーズかセルティックのファンかはすぐにわかる。荷物を投げるか、写真を求めてくるかだ」とエピソードを紹介。あまり動きのなかった今年1月の移籍市場については「良い人材はいたがクラブが獲得を渋った。だから彼はフェラーリに移籍してしまった!」とF1ドライバーのルイス ハミルトンの電撃移籍に触れた。そして5月にVARの話題が出ると「私はスウェーデンに行く」と欧州トップ30のリーグで唯一、VAR導入を拒否した北欧の国への移住を宣言!
ソン&マディソンをいかに止める?
“再会”する武藤のゴールに期待!
33年ぶりに来日するトッテナム。過去2回のツアーでは日本代表と対戦したため、今回初めて日本でJクラブと顔を合わせる。2019年に横浜F・マリノスをJ1優勝に導いたポステコグルー監督にとっては凱旋試合とも呼べるだろう。“アンジェ ボール”はスパーズでも健在で「練習が楽しい」と選手たちが明かすほど魅力的なサッカーを展開しており、レヴィ会長も「我われのトッテナムが帰ってきた」と喜んでいる。次から次に湧き出るような攻撃の中核を担うのはソン フンミン&マディソンのコンビ。とりわけ韓国代表FWの裏に抜け出すスピードとフィニッシュはワールドクラスであり、堅守のJ1王者がいかにして対応するかに注目だ。一方、ヴィッセル神戸のFW武藤嘉紀にとってもトッテナム戦は特別なゲームである。というのも彼が2018年から2季プレーしたニューカッスルに移籍後、初めて出場した公式戦の相手がスパーズなのだ。その時は奪えなかったゴールを今回は期待したい。
7/27(金)神戸VSトッテナムホットスパーを控えるトッテナム選手にLeminoが独占インタビューを実施しました。この戦いおける意気込みなどのここでしか見られない映像を最速でお届けします。
Text by Dai Tajima
Edited by footballista
Photos by Getty Images