キャストコメント
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倉科 カナさん
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さとう ほなみさん
── 中条彩江子の人物像を作り上げる上で、どのようなことを意識されましたか?
最初に台本をいただいて読んだ時に、彩江子は人間味が溢れているというか、素直に生きている人だなと。作品の中で一番興味を持ったのが彩江子の人間性だったんです。
過去に辛い経験していますが、ジェンダー問題に強い関心を持っていて、ただひたすらに真っすぐな人だなと思いました。
そのため役作りにおいては、色々と考えることはあるけれど、「何も疑わずに自分の思いと真っすぐに向き合っていく」ことを意識していました。
本当に“バカまじめ”に生きていれば、彩江子になれるのではと考えていましたね。
── 視聴者に中条彩江子をどう見てもらいたいと思いますか?
彩江子は過去も現在も“辛い出来事”が多くて。
役を演じている私自身も「ずっとしんどかったな」という気持ちでした。
ただ逆を言えば、人間味が溢れる人だからこそ、感情豊かに描かれていたりするわけで、井樫監督も彩江子の魅力をすごく引き出していたのを感じました。
人間臭さが全面に出ているというか、喜怒哀楽を持っていて、そこに「愛」がある人なんですよ。いろんな登場人物がいる中でも、感情移入しやすいのが彩江子であり、その真っ直ぐな生き方と辛いシーンの描写に注目いただきたいですね。
── 中条彩江子と他のキャラクターとの関係で、特に興味深いと感じた点は何ですか?
登場人物の中では晴人(はると)と一緒にいるシーンが多かったのですが、晴人の言動が怖いというか、「何を思ってこういうセリフを言っているの?」と佐藤寛太くんと話していました。
随所で、晴人の言動に彩江子が振り回されているんですが、晴人自身も悪気があるわけじゃないので、そこがまた怖いんですよね(笑)。見えている景色はお互い似ていても、感じている景色は全然違うんだなと思います。
そんな“クレイジー晴人”とバカまじめ彩江子”の絡みはとても面白いので、その辺りもチェックいただきたいですね。
── 作品の中で、特に挑戦的だったシーンはどこでしたか?
今回の撮影で挑戦したのは友人の正太郎とのバスケです。
私は中学校から吹奏楽をやり始め、ずっと文系だったので、球技は得意ではありませんでした。どんな球技をやっても下手で、自分のことを“球ブス”だと思っているんですよ。なのでバスケのシーンがしっかりできるか、最初はとても不安でした。
それでも、スタッフからバスケの指導を受けたほか、自分でもバスケットボールを借りて、バスケ経験者の知人に少し教えてもらったりと、時間を見つけてバスケの練習をしていました。
結果的には、我ながらプロのようなバスケのシーンが撮れたと思っているので、その辺りもぜひ見ていただけたら嬉しいです。 -
佐藤 寛太さん
── 世良晴人のキャラクターを演じることで意識したことは何ですか?
晴人(はると)は廃墟の写真を撮っているカメラマンで、僕が普段から写真を撮るのが趣味ということもあって、「晴人ならどんな写真家が好きか」というのを考えていました。
そういう意味では、自分が撮るプライベートでの写真と、世良の撮る写真の世界観に共通する何かを見出せそうと意識しましたね。
── 世良晴人の人物像や直面する葛藤についてはどのように感じましたか?
晴人は自分の気持ちにあまり蓋ができない性格で、正直というよりも、思ったことをそのまま口に出してしまうというか。役を演じるための準備段階として、台本はもちろん原作も読ませてもらったのですが、いざ現場に入ると自分の想像していた感覚と違ったんですよ。
人当たりもいいし、人付き合いも上手い。きっと晴人はモテるだろうなと思うのですが、台本を読んでもキャラクターのイメージが掴みづらくて。
人に好かれるような接し方をしている一方で、内面にある自分の拭えない悩みから逃れられない状況があり、ずっと晴人の気持ちがわからなかったんです。
役を演じる立場としてはすごく難しかったのですが、それでも彩江子役のほなみさんとも話し合い、試行錯誤しながらシーンを重ねていきました。
── 作品の中で特に印象に残っている撮影や注目してほしいシーンはありますか?
撮影で印象に残ったエピソードは、作品の冒頭シーンでホテルのロビーに登場人物が全員集まったときです。
ワンカットで撮影するという挑戦的な取り組みだったんですが、パーティーのシーンで、倉科さん演じる愛里紗のドレスとジュエリーが似合いすぎだったんですよ。
本当にすごく綺麗だったので、そこはぜひ見てほしいですね。
あとは、登場人物のキャスティングがすごくハマっているなと撮影を見ていても思ったので、その辺りも注目していただくといいと思います。 -
森 香澄さん
── 玉木まりもというキャラクターのユニークな点は何ですか?
最初に台本をもらって読んだ時に、私の演じるまりもが同年代ということもあって、まりもの気持ちがすごく理解できました。
私がこれまで演じてきたのは、おしとやかであまり感情の動かない役が多かったのですが、まりもは感情の起伏が激しく、私にとっても初めて挑戦する役柄だったので、とてもやりがいを感じていました。
部屋の中では一人でふてくされて、怒って、悲しむといったように、ワンシーンで3回も感情が変わったりするんですよ。
まりもが見せる、さまざまな感情の移り変わりも見ていただくと嬉しいですね。
登場人物の中でも、視聴者の方が共感しやすいキャラクターなので、ぜひ感情移入して見ていただけたらと思います。
── 他のキャラクターとの関係性で注目してほしい部分はどこですか?
友人の櫻(さくら)と話すシーンでは、私が出演しているテレビのバラエティやアナウンサーの仕事では絶対に言わないセリフがあり、普段の私とすごくギャップを感じられると思います。
リアルな女子の実情というか、内面がにじみ出る場面は作品の中で注目してほしいポイントですね。
また、金子ノブアキさん演じる修(おさむ)との絡みも見どころで、とにかく修の性格が際立っているんですよ。
現場では「本当はどう思っているんだろうね」、「どういう気持ちでこのセリフを言っているんだろうね」などお互い話し合いながら撮影していたので、その辺りもチェックしていただきながら作品を楽しんでほしいですね。
── 役を演じるにあたって何か挑戦したことはありますか?
ホテルのティーラウンジでピアノを弾くシーンが、撮影で印象に残っています。
広いロビーでダイナミックにピアノを弾くのはすごく楽しかったのですが、ピアノのレッスンは結構本格的だったなと感じています。
最初は1曲だけと聞いていたんですけど、いつの間にか4曲になっていて(笑)。
まるで課題曲を覚えるみたいな感じで、とにかく練習に励みましたね。
ピアノを練習するために一人でスタジオを借りたり、実家へ行ったりして「毎日ピアノに触る生活」 を送っていた過去を思い出し、すごく懐かしく感じました。
ティーラウンジでピアノを弾くシーンでは、かつて発表会やコンクールに出ていた時の“魅せる弾き方”を久しぶりにやったなと思っています。 -
寺西 拓人さん
── 佐藤玲門というキャラクターを演じる上で、どのような準備をしましたか?
原作や台本を読んだなかで、玲門は自分にすごく正直で、はっきりしている印象を抱きました。ジャズピアニストでありながら、どこか気ままな性格で、本能の赴くままに生きている。その姿に同棲している流奈も惹かれていて、“優雅な野良猫”のように思われているんです。
ですが、僕自身今まで全くピアノをやったことがなくて。
イメージを固めようと、普段は行かないピアノバーに足を運んで、バーで弾いているピアニストを見て勉強しましたが、「本当に自分にできるのかな」と思うくらい、ピアノを弾くのが怖かったんですよ(笑)。
先生からピアノを教えてもらう時間もそんなに多くはなかったのですが、振り返るとピアノのことを考えている時間はすごく長かったと感じています。それでもピアノの猛特訓の末、わりと弾けるようになったのは嬉しかったですね。
── 撮影で印象に残っているシーンはありますか?
撮影を通して印象的だったのは、作品の一番最初にホテルのロビーに登場人物が全員集合し、ワンカットでカメラを回し続けるシーンでした。
玲門と流奈は初めの方だったので、まだ良かったのですが、後になるにつれてプレッシャーが大きくなっていく緊張感のある撮影だったなと思っています。
あとはバーテンダー役の流奈を務める真飛さんの“プロの所作”ですね。初めてバーのシーンで一緒になった時に「本当のバーテンダー」のような振る舞いをされていてびっくりしました。
普段はお酒を飲まれないと聞いていて、バーに行き慣れているわけでもないのに、完璧にバーテンダーを演じていたのは、まさに役者のプロだなと思いましたね。
── 作品の見どころについて教えてください。
作品の中で見てほしいのは、僕にとって初めての挑戦だったキスシーンです。
最初は戸惑う部分もありましたが、幸いにも真飛さんのおかげで、とてもやりやすかったというか。何も恐れずにできたので、そのシーンはぜひ注目いただけたら嬉しいです。
初めて共演させていただいた真飛さんは、すごく優しくて話しやすい方で。最初に撮ったホテルのロビーでのシーンから、「もう敬語で話すのはやめて、役名で呼び合おう」と言ってくれたんです。
お互い気を遣うのではなく、演技しやすい空気を作ってくださったことで、本当に助かりました。
あとは、普段は見られない髪色を金髪に染めていることにも注目していただけたらと思っています。
撮影の合間に舞台があったため、1ヶ月以内に黒髪と金髪を行ったり来たりしていたので、ちょっと頭皮が心配ですが(笑)、普段は見られない髪色もぜひチェックしてみてください。 -
金子 ノブアキさん
── 撮影中の役作りで工夫したことや注目してもらいたい点はありますか?
修の役を演じるのにあたって大事だったのは、原作の読後感から逆算して肉付けしていくことでした。
原作を読み進めていくうちに、見た目も含めて修の実態があらわになっていくというか。登場人物の中で読者に一番翻弄されるキャラクターで、「最終的にはそういう人なのね」と思われるくらい、修は誰からもモテる存在ですごく人たらしな性格なんです。
男性からも信頼されているところがすごく見えるし、一見とっつきづらそうな感じだけど、潜在的にはものすごくオープンな人なんだと。原作を読んだときはそう感じていましたね。
原作を映像化すると、最初から顔は見えていますし、ある種ネタバレ感があるからこそ、キャラクターのプロファイリングは逆算していくことになるわけです。
今回、修役のオファーをいただいた時は、原作を読み進めるまで見た目の想像が全くつかなかったこともあり、 「自分にできるのか」と思っていました。
それが読み終わる頃には、この役を誰にも渡したくないという思いになっていて。絶対にやりたいという気持ちになりました。
不倫関係が目立つ修ですが、奥さんの愛里紗と過ごしてきた時間も確かにあって。手玉に取られているわけでもなく、お互いの妙な感じに惹かれ合っているからこそ、指輪を決して外すことはないんです。
その絶妙な関係性を、愛里紗役の倉科さんがうまく演じ上げてくれたので、僕は本当にそのまま演技をやるだけでした。
その一方で、修は「奥さんだけは手に入らないような気がする」と言っているのに、なぜか色々な女性に手を出してしまうんです。
「全てを手に入れた男の興味はどこに向いていくのか。何を持って興奮するのか」というのを考えれば考えるほど、修の面白さに魅了されると思います。
── 結城修の過去や背景について特に印象深かったのは何ですか?
ちょっとネジが飛んでいるというか、神をも恐れぬ大胆さを意識しながら役を演じるのはすごくやりがいがありましたし、楽しかったですね。
今回の作品は官能的なものだったり、大胆な描写が多かったりしたのですが、撮影現場はすごく明るかったのが印象的でした。
監督のイメージを良い形で具現化するためにスタッフ全員で支えながら「良い作品にしていこう」というポジティブなエネルギーが生まれ、撮影現場の雰囲気が良くなるんです。
── 作品を通して見てもらいたいシーンがあれば教えてください。
美術やセットの照明、映像も僕が読んでイメージしていた世界観と一緒だったのは驚きました。共演者の役作りも原作のキャラクターと本当にそのまま一致していて素晴らしく思いました。
修は登場人物の物語が回転していくときのハブになる人物で、特にエンディングは最大の見せ場になっています。
絶望でもなく、怒りでもなく、喜びでもない修の感情と、最終的にすごい勢いで崩れ落ちていく描写は、ラストシーンに凝縮されているんですよ。
ぜひ作品を楽しみにしていただきたいですね。合わせて、原作も読んでいただくとより楽しめるのではないでしょうか。 -
真飛 聖さん
── 水無月流奈の内面や動機をどのように理解し、役作りに生かしましたか?
流奈はバーテンダーという仕事をやっているからこそ、お客さんの人間模様やパーソナリティを読み取る力は長けています。ただ、お節介なキャラクターではないので、遠くからそっと見守る立場を貫いています。
恋愛や結婚、離婚、不倫……など、流奈は人生経験が豊富で、なんでもわかっているように見えますが、実はわかっていないというか。本当は孤独で、拠り所が定まっていないんです。
他の登場人物からは、大人の女性としての「余裕」や「魅力」がかっこよく見えますが、別にそうありたいわけでもなく、一途に人を好きでいたいというのが流奈の本心になっています。
── 水無月流奈のキャラクターのどんな一面に惹かれましたか?
登場人物の中でも一番年上で、流奈の経営するピアノバー「水無月」に来るお客さんからは「余裕でいいですね」と言われるけど、全然そんなことはなくて。
口に出して自分で納得しようとしたり、頭の中で結論づけたりする部分もありますが、流奈の人間らしさを感じるのは「真っ直ぐな愛情を求めている」ことです。
撮影を進めていくうちに、登場人物の誰よりも「ピュアな気持ち」を持った人だなと感じました。
そこに私も惹かれたというか、演じていて面白かったなと思いましたね。
また、流奈はそれなりに人生経験を積み重ねてきて、応用も利くようになっていますが、恋人の玲門に対しては「どこへ行ってもいいのよ」と言いながら「どこにも行かないでね」という瞹昧さが露呈し、感傷的になるシーンもあります。
今まで離婚は離婚、不倫は不倫と割り切ってきたはずなのに、玲門と紡いできた時間を思い出すと、心と頭の整理がつかなくなるといった繊細な一面にも惹かれました。
── 他のキャストとの共演で特に印象的だったシーンはありますか?
撮影では玲門役の寺西 拓人さんと長くいることが多かったのですが、他の共演者で印象に残っているのは、彩江子役のさとうほなみさんです。
嘘がない感じで言葉が自然と出てくるんですよ。元から彼女の芝居が好きだったのですが、今回初めて一緒にお芝居できて嬉しかったし、楽しい時間が過ごせたと思っています。
── 撮影中に苦労した点や挑戦したことは何ですか?
今回の撮影で挑戦したのは、カクテルを作ることです。ちゃんと練習する時間を設けていただき、動画で撮ってもらったのを見ながら復習したりと、プロのバーテンダーとして振る舞えるように頑張りました。
また、シェイカーやカクテルグラスといった道具を家に持ち帰って、毎日練習していましたね。ただ、普段からお酒を飲まないので、バーに行く機会もないことから、もう本当にイメージだけでシェイカーを振っていました。
練習のしすぎで筋肉痛になったのですが、その痛みが2、3日後にやってくるという経験をしたのはいい思い出です(笑)。
あとは実を言うと、恋愛ドラマは初めての出演なんですよ。
今までは不倫の相手とかの役は経験がありましたが、「恋愛ドラマもできる人になりたいな」と思っていたタイミングで、今回のお話をいただけたのはとても嬉しかったですね。
── 作品全体を通しての見どころを教えてください。
作品の見どころは、登場人物によって考え方や価値観が異なり、いろんな感情が渦巻いている点です。
人間の抱く感情に正解がなく、曖昧な部分があるからこそ、それが人間臭かったり魅力的に感じて惹かれたりするわけです。
私は感情のあるがままに突き進んで、思いっきり生きていく姿はかっこいいと思うし、美しいと感じるんですよ。
一方で人間の醜さやドロドロした感情もあるわけで、そういうところを作品を通して見ていただき、「自分の感情に素直になって、思いっきり生きよう」と思ってもらえたら嬉しいですね。
── 結城愛里紗というキャラクターをどのように解釈して役作りをされましたか?
愛里紗は美しいものに対してすごく探検心がありますが、美しくないものは拒絶するという独自の世界観を持っています。
人が頑張っている姿や一生懸命になっている姿も、愛里紗にとっては美しくないと思っていて。そのため役作りに関しては、愛里紗独特の美学を理解しようと心がけていましたね。
いつもト書きには「微笑む」と書いてあり、自分の中で“美しい城”を作っている感じなのですが、物語が進むにつれて大きく表情の変化は現れないものの、自分の築いてきた城に少しずつひびが入っていく瞬間が垣間見えたりします。
容姿もほわっとしていて、女性らしく美しいという描き方がされていますが、美しさを追求するあまりに少し冷たさも感じたり、自分の嫌なものを見ないようにする能力にもすごく長けていて。
── 結城愛里紗の性格や背景で、特に共感できる部分はありますか?
俳優としていろんな現場を経験すると、なんかちょっとモヤモヤすることだったり、でしゃばってはいけない場面もあったりするのですが、そんなときは、愛里紗のように「ふふふ」って言いながら都合のいいところだけを見るようにしていることもあるので。
愛里紗と似通っている点もあり、そういう意味では役作りがしやすかったなと思っています。
── 作品の見どころや注目ポイントを教えてください。
愛里紗と修は、お互いに対しての興味の度合いや温度感が比較的似ていますが、少し世間離れしているというか、地に足がついていないのが面白いところです。
一方で晴人に対しては、「この男の子は美しい」というところから入りますが、晴人を過去の初恋の人と重ね合わせて見てしまうため、次第に感情を寄せていくようになるんです。
そうした愛里紗の感情の微妙な変化や独特の世界観をぜひ見ていただけたら嬉しいです。ただ、本当に何を考えているのか分かりづらい女性なので、見る人によって“愛里紗像”が変わると思うんです。
なので、「愛里紗に対してはどのような印象を抱きましたか?」と視聴者の皆さんに感想を聞いてみたいです。
── 撮影中に特に印象的だったシーンやエピソードはありますか?
撮影で印象に残っているのは「愛里紗と英里華」の双子を演じたことです。
今まで2役を演じたことはありますが、同じ時間やシーンに出ることはなかったので、私にとって初めての挑戦でした。
「自分の質問に対して自分で返し、それにまた自分が返答する」というシチュエーションはなかなか経験できることではなく、慣れないことなので疲労感はありましたが、自分にとっては良い学びや気づきにつながったので、双子の役を演じることができて、とても良かったなと思っています。