J2昇格の最後のチケットを懸けて、寒空の富山県総合運動公園陸上競技場でカターレ富山と松本山雅FCが運命のキックオフを迎えた。1週間前に戦った準決勝から両チームともにスタメンに変更はなし。盤石の11人がスタートのピッチに立った。

決勝ならではのこう着した立ち上がりが予想されたが、序盤から両者ともに積極的に先制点を目指す。まずは松本が左サイド深くからのロングスローで立て続けにゴールに迫ると、富山もすぐに応戦。サイド攻撃から最後は右サイドバックの西矢慎平が飛び込み、ヘディングシュートを狙った。

次第にホームの富山が押し込んでいくようになり、14分には最初の決定機を作り出す。セットプレーの二次攻撃から右サイドを崩し、エリア内で松岡大智が左足で強烈なシュートを見舞う。これは枠を捉えたが、松本GK大内一生がファインセーブを見せ、スコアは動かなかった。

すると、次のチャンスは松本にやってくる。18分、左サイドでボールを持った菊井悠介がフワリとしたボールを送ると、3列目からゴール前に入ってきていた安永玲央が巧みなコントロールから右足シュート。これが密集をすり抜け、ゴールに吸い込まれた。これで勢い付いた松本が一気に畳みかける。26分にはCKから追加点。菊井のボールに樋口大輝がフリーで合わせ、貴重な2点目を奪った。

前半はそのまま2点のリードを手にして落ち着いた松本が、ゆっくりとゲームを進めて終了。試合の行方は後半に委ねられた。

まず1点を返したい富山は、後半開始から2人の選手を投入する。ボランチに高橋馨希、左サイドハーフに伊藤拓巳を送り込んだ。その効果もあり、富山が相手陣地でプレーする時間を長くしていく。松本が守備で高い集中力を見せてなかなかゴールをこじ開けることができなかったが、ついに80分にゴールネットを揺らす。左サイドで仕掛けた伊藤のクロスに碓井聖生が頭で合わせ、反撃の狼煙を上げた。

リーグ戦順位のアドバンテージで引き分けでも富山のJ２昇格が決まるため、次の1点が大きな意味を持つことに。何とか追いつきたい富山と、逃げ切りを図りたい松本という構図が明確になり、残り10分間は攻める富山と守る松本という展開が続く。それでも松本が1点のまま6分のアディショナルタイムに突入。ワンプレーが勝敗を分ける時間帯となった。

そして90＋3分、富山に劇的なゴールが生まれる。右サイドから上がってきたクロスに合わせたのはエースの碓井。競り合ってきた相手DFとGKよりも高い打点で触ってゴールに流し込んだ。最後は90＋8分までもつれ込んだゲームだったが、2-2でタイムアップ。リーグ戦上位のアドバンテージを生かした富山が、11年ぶりのJ2昇格を決めた。

【制作・編集：Blue Star Productions】

＜J2昇格プレーオフ 決勝＞
2024年12月7日（土）14:03キックオフ 
カターレ富山2-2 松本山雅FC
得点者
富山：碓井聖生（80分、90+3分）
松本：安永玲央（18分）、樋口大輝（26分）

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