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【2025 JリーグYBCルヴァンカップ】FC東京が持つ可能性。松橋力蔵監督が語る「境界線を超えていく」ための一歩とは

スポーツ

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鋭いアタッキングを最大の武器にしてきたFC東京に、今シーズンから松橋力蔵監督が就任。ポゼッションサッカーを志向することで知られる指揮官だが、チームが従来持っていた“怖さ”を活かしながらボールを大事にする意識を植え付け、少しずつ両面の持ち味を発揮できるようになり始めてきた。果たして新監督はいかなるアプローチを図り、どんなチームを作ろうとしているのか。

──FC東京の監督就任から明治安田J1リーグ第5節までを終えました。開幕戦から比べると、ビルドアップを含めた攻撃に再現性が出せるようになっている印象があります。ここまでチームに対してはどんなアプローチをしてきたのでしょうか。

まず選手たちもスタッフも本当に力を貸してくれていると感じています。一つひとつの練習セッションに対する選手の意識は非常に高くて素晴らしいですし、どうすれば選手たちのポテンシャルを最大限に引き出せるかを第一に考えてきました。我々が持っている強みの一つがスピードです。もちろんポゼッションは大事ですが、必要がないときに無理にボールをつなぐのは違う。攻撃のタイミングをつかみ、相手が対応しづらい状況を作り出すことを意識しています。

──練習メニューの構築はどのように考えてきましたか?

私はあまり同じメニューを繰り返さないタイプなんですよね。決まった形を染み込ませる方法もありますが、選手たちが状況を考えながらプレーできるように工夫しています。毎日の練習でも「3分間で何をどれだけやるか」というように、自分の目標を持って臨むことを求めています。

──試合でも再現性のある形だけでなく、臨機応変な攻撃を見せるシーンが増えてきました。ただ、決定機を決められずに勝点を落としてしまっている印象もあります。

第3節の鹿島アントラーズ戦、第4節湘南ベルマーレ戦は結果だけを見れば勝利を手にすることはできませんでしたが、特に鹿島戦はシンプルに決めるところさえ決めていたら結果が変わっていた可能性もあると思っています。本当に上に行きたかったら、ああいうところをしっかり決めきらないといけないです。そこに尽きます。自分たちがしっかりと作り上げたチャンスを決めきれるかどうか。ゴールネットを揺らせるかどうか。内容にこだわることももちろん大事なことですし、いつもは下から積み上げる土台のようなところか取り組んできましたけれども、それを自分たちの勝利に結びつけなければ勝利は手にできないので、「決める」という部分にもしっかりとフォーカスしていきたいと思います。

──第3節の名古屋グランパス戦は鋭い攻撃から3ゴールを決めました。引き込んでからのカウンターが機能していましたが、松橋監督は試合後の会見で「求めていた展開じゃなかった」ともコメントされていました。勝利はしたものの、何が正しかったのでしょうか。

そこは勝ったことが正しいと思います(笑)。まあ、正しいというか、選手たちが本当にしっかり対応してくれました。ゴールキーパーからしっかりつないで決めたゴールもありましたし、瞬間瞬間で臨機応変に動いて最適解、最善手を打てるのが良さだと思います。僕が言っている展開どおりにならなくても、ピッチの選手がしっかり選択できて、しっかり強みを発揮して、それをゴールに結びつけられればベストだと思います。

──ピッチ内とベンチのすり合わせはスムーズにできていますか?

そうですね。もちろんハーフタイムに修正を加えることもありますし、そこはピッチ内とうまく折り合いをつけていければと思います。選手もしっかりいろいろなものにトライしてくれていますし、もちろん課題もお互いに持っていて、こうすればもっと良くなるという考えも伝え合えていて、細かいところも詰めている状況でもあります、どこかでピースがパチッとハマれば、もっともっと良くなっていくと思っています。 

──さて、3月20日からJリーグYBCルヴァンカップが開幕します。昨シーズンはアルビレックス新潟を率いて決勝まで進出しました。どんなことを考えながら勝ち上がっていったのでしょうか。 

特別な戦い方を意識していたわけではなく、目の前の試合を一つずつ戦っていくことを徹底していました。それは普段のリーグ戦と同じですね。ただ、トーナメントでは「負けられない」という意識がより強くなりますし、特に1stラウンドの1回戦から3回戦までは一発勝負で勝敗が決まってしまうので、メンバー構成や戦い方のオプションをしっかり考えておく必要があるとも思っています。

──ルヴァンカップは若手選手が輝く大会でもありますが、昨シーズンの新潟では若い選手を積極的に起用しながら結果を出しました。そしてFC東京を率いるようになった今シーズンは、J1第4節鹿島戦で北原槙選手がJ1最年少出場記録を更新しています。選手を育てながら勝つこと、選手を伸ばしていくことについて、松橋監督の考え方を教えてください。

まず育成と強化は別々ではなく、同時に進められるものだと考えています。若手を使うかどうかは、そのときの状況によりますが、準備ができている選手には躊躇せずチャンスを与えます。彼らが「この戦いが自分たちの良さを活かせる」と確信できるよう、しっかり落とし込んでいきたいです。ただ、僕が選手の力を伸ばすわけではないです。自分の仕事は「見抜く」とか「見いだす」という部分で、彼らに教えるとか伝えるのではなく、持ち味を引き出してあげるのが大きな役割だと思っています。

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──その北原選手についても少し聞かせてください。キャンプからトップチームに帯同していて、15歳とは思えない力強さや冷静さが印象的でした。あらためてデビュー戦を踏まえて、監督はどう評価していますか?

まだまだ足りないと思いますね。今は違うことで注目されがちなところがありますが、記録を達成させたいから起用したという考え方は全く持っていませんでした。鹿島戦では彼の良さであるギリギリでの判断の良さや相手の急所を突くようなフィードと見通す目を感じられるようなプレーがいくつかあったと思います。課題はありましたが、トレーニングや練習試合では十分に持ち味を発揮できていたので、少し緊張していたのかなとも感じましたし、彼が持っているものを臨機応変に出すためにはもっと経験が必要なのかなとも思っています。実際にプロのピッチに立ったことで、本人が実際にリアルな部分を感じ取れたと思うので、これからいい形で前進していってほしいですね。

──こういった若い力がどんどんチームを押し上げてくれるわけですね。

チームが脈々と歴史を積み上げていくなかでは大切な存在だと思いますし、そういう選手がどんどんどん出てきてもらいたいです。もちろん出てくるだけじゃなくて、どんどんチームに割って入っていくくらいの気概を持ってほしいですね。

──ルヴァンカップの1stラウンドの1回戦はアウェイで奈良クラブとの対戦になります。カテゴリーの異なる相手との対戦とのやりにくさはありますか?

特別な準備はせず、通常の一戦と変わらずに戦います。ただ、カップ戦は日本だけに限らずジャイアントキリングが起こりやすい大会でもあるので、選手たちもしっかりとそういうマインドを持って戦うことが大切になるとは思います。とにかく目の前の試合にしっかりと勝っていくことにフォーカスしていきます。

──昨シーズン、新潟で決勝まで勝ち上がりながら悔しい思いをしました。FC東京でのルヴァンカップ、そしてタイトル獲得に懸ける思いを教えてください。

昨シーズンのルヴァンカップ決勝は悔しい経験でしたが、それを引きずることはありません。ただ、あと半歩越えられなかった境界線がそこにはありました。我々はクラブの歴史において、そこを超えていく作業をしていかなければならないので、自分の経験で何か活かせるものがあれば言葉にしていくかもしれません。これまでFC東京はカップ戦のタイトルを獲得していますが、リーグタイトルはまだ手にすることができていない現状があります。クラブとして新しいステージに立つために、目の前にある境界線を超えて新たな歴史を作るために、一戦一戦しっかりと準備して勝利を目指していきます。

──あらためてFC東京をどのようなチームにしていきたいですか?

本当に常勝チームになっていきたいですし、美しいゴールやダイナミックな展開からのゴールを増やしたいですね。細かいパスワークできれいに崩して相手が対応できない形を作って、最後はゴールキーパーと2対1の状況から完全なゴールを決めることも目指していきたいです。ただ、一番は最後まであきらめることなく、勝利を目指して全員が全力で戦うチームを作りたい。まだまだチームは発展途上ですが、より攻撃的なプレーで皆さんが笑顔になれるシーズン、選手、スタッフ、ファン・サポーターの皆さん、そしてクラブに関わるすべての人が熱狂できるシーズンにしたいと思っています。そのために攻撃的なサッカーを追求しつつ、勝利にこだわって戦います。ぜひこれからのFC東京を楽しみにしていてください。

文=青山知雄
写真=青山知雄、FC東京
【制作・編集:Blue Star Productions】

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