

2024年8月に劇場公開された映画『マンガ家、堀マモル』が、このたび動画配信サイトLeminoにて独占公開。それを記念して同作より榊原有佑監督、伊藤主税プロデューサー、そして両者と親交の深いYuki Saito監督(「おっさんずラブ」シリーズ、「アンメット ある脳外科医の日記」など)をゲストに招いたイベントが開催され、撮影現場や裏話を収めた制作ドキュメンタリーの上映に加え、日本映画界の今を担う3人のクリエイターが創作の最前線から生の声を届けた。
会場には人工芝が敷き詰められ、参加者の座席はコタツというリラックスしたムードの中でイベントがスタート。後半のトークでは榊原監督がMCを務める形で、いくつかのテーマに沿ったクロストークが繰り広げられた。例えば“新しい企画や作品を生み出す秘訣”というテーマでは、『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』や『Winny』、『MIRRORLIAR FILMS』シリーズなどの話題作を生み出し続ける伊藤プロデューサーが衝動や怒りのようなヴィヴィッドな感情が発想の源だとし、「自分が一番純粋だった小学生の頃の感覚を忘れないように、小学校時代の通学路を定期的に訪れるようにしている」と告白。自分の感情が動いた体験を大切にしていると語った。
同じテーマに対して、原作ものからオリジナル作品、自分自身でも企画開発を手がけるYuki監督は、「『アンメット』のように原作がある場合は、ひたすら原作を読み込んで、原作者の方が何を伝えようとしているのかを考えます。オリジナルやゼロから企画を立ち上げる場合は、とにかく何かをインプットすることが大事。最近は俳優の井浦新さんに薦められて一人で山登りに出かけたり、宮島に一人旅をしたり、自分にとっての初体験を求めるようになりました」と明かす。続いて榊原監督は、『パラサイト 半地下の家族』(2019)が米オスカーを受賞したときにポン・ジュノ監督がスピーチで引用したマーティン・スコセッシ監督の言葉「最も個人的なことが、最もクリエイティブだ」を挙げ、自分の中にある思いや体験を追求することの重要性を説いた。そのほかクリエイターとして活動を続けていく処世術については、 一喜一憂しないこと、他人に相談すること、自分が楽しむことを忘れない、などそれぞれの経験に基づいた具体的なアドバイスを参加者に授けた。
また、サブスクリプション形式の動画配信サービスが映画作りに与えた影響についても話は及んだ。伊藤プロデューサーが「たとえ劇場公開時には思うような反応が得られなかったとしても、数年後に作品の魅力が届くこともある」と切り出すと、Yuki監督も「配信はそれを大きく助けていると思います。映画は興行、テレビドラマはオンエアが終了したら終わりではなく、その後も配信で観られる場があれば、年月や場所に関係なく、いろいろな人が自分のタイミングで作品と出会うことができる」とそのポジティブな側面に触れる。さらにアメリカで映像を学んだ経験のあるYuki監督は、配信以前の時代では日本の映画を世界に届けるためには言葉の壁が大きく立ちはだかっていたが、配信によってどの国の言葉でも世界中の国の人々が観られる環境と文化が育ったことを指摘。それを受けて榊原監督も「テーマをグローバルに広げるよりも、日本ならではのドメスティックな題材を掘り下げていくことが普遍的なものにつながると思うようになりました」と語った。
そして『マンガ家、堀マモル』でも描かれていた創作におけるスランプとの向き合い方については、「とにかく人と会い続けて、人と会話をし続ける。そうやって小さなエネルギーを自分で生み続けていれば、何かのきっかけでその火が大きく燃え広がっていく。どのエネルギーが次につながるかわからないので、その数を増やすことを心がけています」と伊藤プロデューサー。Yuki監督は撮影現場におけるスランプという視点から「現場の調子が悪いときは人間関係に原因があることが多い」と見解を述べ、「人と人の掛け算がうまくいったときに、自分の想像もできなかったものが撮れる瞬間があるので、人間関係を中心に原因を探るようにしています」と対策の方向性を示した。するとかつてYuki監督の教え子でもあった榊原監督は「Yukiさんは人を巻き込むことが非常に上手なんです」と絶賛。その上で自身は「スランプというとアイディアが出るかどうか。何かを考えるときは水深100メートルくらい潜り込むつもりで取り組まないと出てこないので、いかにそこまで深く潜り込めるかが勝負」と打ち明けた。
榊原監督は、『マンガ家、堀マモル』主演の山下幸輝にスランプとの向き合い方を聞いたときの答えとして、「基礎練習を何度も繰り返して、自分の軸となっているものを体に染み込ませる」というダンス経験者ならではの感覚で言語化されたコメントも紹介。最後には参加者との質疑応答も行われ、アットホームながらも刺激的な時間は幕を閉じた。
Leminoでは本編だけでなく、堀マモルを演じた山下によるコメント付き特別映像、山下と原作者・setaの対談、撮影に臨む出演者の真剣な顔が見られるメイキングなど、ここだけの舞台裏コンテンツも充実。様々なアングルから『マンガ家、堀マモル』の世界をフルに楽しめるラインナップがそろっている。
取材・文=奈々村久生
【制作・編集:Blue Star Productions】


関連ニュース
- 『怒り』はどこで見れる? 配信視聴方法、番組概要を紹介映画
- 『ゴジラvsコング』はどこで見れる? 配信視聴方法、番組概要を紹介映画
- 『悪人』はどこで見れる? 配信視聴方法、番組概要を紹介映画
- 染谷将太主演『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』はどこで見れる? 配信視聴方法、作品概要を紹介映画
- 『GODZILLA ゴジラ』はどこで見れる? 配信視聴方法、番組概要を紹介映画
- 『シン・ゴジラ』はどこで見れる? 配信視聴方法、番組概要を紹介映画
- 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』はどこで見れる? 配信視聴方法、番組概要を紹介映画
- カンヌ国際映画祭で新作『国宝』が称賛された“名匠”李相日監督のキャリアに迫る映画
- 広瀬すず主演、映画『ちはやふる』はどこで見れる? あらすじ・キャスト・配信情報・視聴方法を紹介映画
- NEWS・加藤シゲアキ監督が短編映画『SUNA』制作秘話を語る【加藤浩次×加藤シゲアキ×隈研吾スペシャル鼎談】映画
- 車の窓を血走った目でたたき続けてくる男。しぶしぶドアをあけると…『MIRRORLIAR FILMS Season7|Victims』映画
- 加藤シゲアキが監督・主演作「SUNA」で描いた“普遍的なものに潜む気味悪さ” 後輩・正門良規とも抜群のバディ感映画
- 加藤シゲアキ、『SSFF & ASIA2025』特別賞受賞に感慨「Season7まで続けてきた道のりが評価されたことを大変うれしく思っております」映画
- 加藤浩次監督、得意の“キレ芸”のようなコメディー要素を盛り込んだ初のショートフィルムが配信開始<MIRRORLIAR FILMS>映画
- 『MIRRORLIAR FILMS Season7』加藤シゲアキ監督・脚本の短編映画『SUNA』。正⾨良規“遠山”と事件を追う映画
- 『ジョン・ウィック:コンセクエンス』はどこで見れる? 配信視聴方法、番組概要を紹介映画
最新ニュース
- 乃木坂46・遠藤さくら&五百城茉央が愛媛へ 浴衣に着替えて“大好きな先輩”と“温泉卓球”で対決<乃木坂、逃避行。SEASON3>Newエンタメ
- 松下由樹“恵子”を追い求めてしまう拓人“野村康太”、そして迎えた衝撃のクライマックス<ディアマイベイビー10〜12話>ドラマ
- 「私と手を組めば、殿下は皇位につける」と鶯歌公主。イエン・ズーシエン“岳瑾宸”に近づくが…『情刺 愛讐の宮廷』第2話韓流・アジア
- 皇位継承争いを巡り、傷ついたホー・シュエンリン“顧君遥”とイエン・ズーシエン“岳瑾宸”が出会う…『情刺 愛讐の宮廷』第1話韓流・アジア
- 働き詰めのパク・ジフ“ボム”を癒すため、ハ・ユジュン“サゲ”はこっそり…『四季の春~恋めぐる僕らの季節~』第7話韓流・アジア
- 一緒に暮らすハ・ユジュン“サゲ”とパク・ジフ“キム・ボム”。結んだ契約とは…『四季の春~恋めぐる僕らの季節~』第7話韓流・アジア
- 再生回数3000万回超え!ハ・ユジュン“サゲ”のバンドが話題曲をカバー『四季の春~恋めぐる僕らの季節~』第7話韓流・アジア
- 夏休みスタートの3連休に大熱戦必至の信州ダービーが開催。プレーオフ圏内を争う直接対決で意地を見せるのは長野か?松本か?【明治安田J3リーグ第21節プレビュー】スポーツ
- 【7月21日】鹿児島ユナイテッドFCvsFC大阪の放送・配信予定・キックオフ時間|明治安田J3第21節スポーツ
- 【7月21日】テゲバジャーロ宮崎vsギラヴァンツ北九州の放送・配信予定・キックオフ時間|明治安田J3第21節スポーツ
- 【7月19日】AC長野パルセイロvs松本山雅FCの放送・配信予定・キックオフ時間|明治安田J3第21節スポーツ
- 【7月19日】栃木シティvsザスパ群馬の放送・配信予定・キックオフ時間|明治安田J3第21節スポーツ
- 【7/19-21】明治安田J3リーグ第21節の試合日程・キックオフ時間・放送配信予定スポーツ
- ENHYPENの過去ライブ映像‘MANIFESTO’はどこで見れる?視聴方法や魅力を紹介K-POP
- TXT(TOMORROW X TOGETHER)の過去ライブ映像はどこで見れる? 魅力や配信視聴方法、番組概要を紹介K-POP
- 【韓国恋リア】シリーズ最新作『乗り換え恋愛~新たな出会いの始まり~』1~3話の見どころ解説|Lemino公式韓流・アジア