

入江悠にインタビューを行った
森山未來が主演するLeminoオリジナルドラマ「飛鳥クリニックは今日も雨」が全話独占配信中。映画「あんのこと」(2024年)などで知られる入江悠監督がZ李氏の小説を映像化した同作は、東京・新宿の歌舞伎町で看板のない“何でも屋”を営む主人公・リー(森山)が詐欺や未成年売春、闇金といった裏社会の住人たちが巻き起こす事件の「落とし所」を見つけていくクライムサスペンスだ。配信開始から1カ月たったこのタイミングで、今作のメガホンをとった入江監督にインタビューを実施し、実際に歌舞伎町で行われた撮影を振り返ってもらった。
「配信だからできる表現もあるのかなって」
――「飛鳥クリニックは今日も雨」の監督を担当することになった経緯から聞かせてください。
プロデューサーの武藤(大司)さんに声をかけていただいて、「原作が面白いから」ということで原作の小説を読んでみたら本当に面白かったんです。ほぼ歌舞伎町の話なので、もし実際に歌舞伎町で撮影ができるんだったらやりがいがあるなと思いました。
映画や地上波のドラマはやってきましたけど、配信のドラマはやったことがなかったので、挑戦してみたいなという気持ちもあったので引き受けました。
――地上波のドラマとは違う表現もできそうな感じですよね?
地上波のドラマは表現に対して自主規制が年々厳しくなっていることもあり、だからこそ配信のほうで可能な表現もあると思うんですね。配信は、契約して見る方がメインの視聴者なので、作品の視聴に対して能動的なんです。「見たいから加入する」という感じなので。守りに入ったヌルい表現ではなく、もっと攻めた新たな可能性がある気がするんです。
――原作を読んだ印象はいかがでしたか?
僕が今まで読んできた歌舞伎町を舞台にした小説、作品とは全く違っていて「これ、どういう意味?」っていう単語がいっぱいありました(笑)。詐欺の手口もそうですし、専門的な単語がいっぱい出てきていて、ドラマの中でも結構そのまま使っています。
単語自体を知らなくても、話の流れで「こういうことを指しているんだろうな」とか「こういう意味かな」と理解できていくと思ったので、野暮な説明とかはせずドラマでもバンバン使わせてもらっています。

「飛鳥クリニックは今日も雨」第8話より
主演の森山未來に感心「アイデアをバンバン出してくれる方」
――主演の森山未來さんとは初タッグでしたが、ご一緒した印象は?
役に関して、すごく考えてこられる方なんだなと思いました。原作の小説に、主人公・リーの生い立ちと言いますか、バックボーンは描かれていないので、人物像をつかまえるのが難しいんじゃないかなと思ったんですけど、衣装とか小道具にもすごくこだわって、ちゃんと歌舞伎町に生きている人になろうとしていて、その繊細さに感心しました。

入江悠監督
――服装や風貌的にも歌舞伎町の街になじんでいるように見えました。
そうなんです。あと、撮影中に脚本のこのセリフはこういうふうに言ったほうが面白くなるんじゃないかとか、アイデアをバンバン出してくれる方で、現場のグルーヴ感みたいなのも大切にされてて、さすがだなと感心しました。あと、固有名詞とか専門用語はバンバン入れていったほうが面白いタイプのドラマなので、「ここはこういうセリフないですか?」みたいなやりとりも現場で多かったです。
――リーの周りのキャラクターもそれぞれ個性が強い。
「飛鳥クリニック」に出てくるキャラクターたちを見ていると、何の仕事をしているのか分からないけど、頑張ったら生きていけるんだなって前向きになれるんですよね(笑)。

「飛鳥クリニックは今日も雨」第4話より
――馬場ふみかさんの美香、勝地涼さんの純もハマり役でした。
馬場ふみかさんは台本通りに演技ができる人だったりするんですけど、森山未來さん とのシーンでは2人でやりとりをしていてだんだん芝居が膨らんでいったりすることもありました。役どころとしては、かわいらしいところと悪どいところ、ちょっともろいところとかいろんな側面があって、そういう絶妙な役をできる人ってなかなかいないと思うんです。馬場ふみかさん以外、思いつかないところがありますね。
勝地涼さんは、森山さんと何本も共演してきていますし、20年来の付き合いということもあってバディ感というか、兄弟みたいな関係性が自然と作られていました。本人も役に近いところがあると思うんですけど、スタッフもみんな「勝地さん、面白いね」って言っていました(笑)。
――配信が始まってから1カ月が経過していますが、監督の周りにはどういう反響の声が届いていますか?
一番反応が早かったのは、地元のちょっと不良がかった友達でした(笑)。Z李さんの原作をドラマ化したというので興味を持って見てくれたみたいで。他にも、同じようにあの原作を映像化するというので興味を持たれた方も多いですね。

「飛鳥クリニックは今日も雨」第1話より
舞台の歌舞伎町は「知れば知るほど興味深い街」
――あの原作を映像化、しかも歌舞伎町で撮影しているというのは気になるポイントだと思います。実際に歌舞伎町で撮影をしてみてどうでしたか?
僕は地方ロケが好きなんです。歌舞伎町は東京のど真ん中ではあるんですけど、今回の撮影では“歌舞伎町”という地方に行っているような感覚になるくらい、どっぷりと浸かっていました。主演の森山さんもそうですけど、ずっと街中を移動しながら撮影して、お昼ごはんとかも歌舞伎町にあるお店に食べに行ったりしましたし、撮影期間は結構な時間、歌舞伎町にいました。
僕が上京した頃の歌舞伎町とは雰囲気が変わっていたりするので、キャラクターもそうなんですが、歌舞伎町という街も一つの主人公みたいな感じで撮影した気がします。

入江悠監督
――撮影したことで、より歌舞伎町のことを知ることができたんですね。
原作にも出てくるカラオケ店とか、撮影でお借りした韓国料理屋さんに行くと面白い店主や店員の方がいたりとか、「このビルはどうなってるんだ?」みたいなところもありますし。個人的には街の歴史を調べるのも好きなので、歌舞伎町が昭和からどう変わってきたのかという変遷を調べたりもしました。ずっといる人、消えていく人、いるのかいないのかわからない人、そういう人間模様も面白いんです。
――新宿という多くの人が知る街ですけど、歌舞伎町のディープな部分は知っているようで知らないことも多かったりすると思いますし。
そうですね。何十年も前からあるお店やビルがあったり、東急歌舞伎町タワーとか新しい部分もあったり、今だとインバウンドで外国人の観光客も多かったりして、知れば知るほど興味深い街です。
――全8話という構成はいかがですか?
一気に見ることもできる長さですし良いと思うんですけど、この作品に関してはいくらでも膨らませることができそうなので、本当は20話くらいあってもいいんじゃないかなって(笑)。配信ならではの良さというか、特性を生かして、たとえば毎話同じ長さじゃなくても良いと思うんです。何か事件が起こる30分くらいの回があったり、ただマージャンだけをやっている5分くらいの回があったり、いろいろありながら50話くらいいきたいですね(笑)。

入江悠監督
未来の“監督”へ「“人と作る”ということをぜひ楽しんでもらえたら」
――これから見てみようと思っている人に、注目ポイントなどを教えてください。
歌舞伎町でひたすらロケしているので、見終わった後、気になったところがあったら実際に歌舞伎町にあるので、行ってみるというのもいいかもしれないです。有名な所で言うと、バッティングセンターは昔からあって、歌舞伎町の名所だったりします。普段、撮影でなかなか貸してもらえないんですけど、今回は撮影ができました。リーくんが韓国料理を食べているお店も実際にあるお店だったりします。
歌舞伎町という街の風景の変化みたいなものを見てもらうと面白いですし、実際に行ってもらうとよりリアルに感じてもらえると思います。あれだけ多種多様な人がいる街というのも世界的に見てもあまりないと思うし、このドラマに登場するキャラクターも個性的な人ばかりなので、リーくんはもちろん、いろんなキャラクターに感情移入して見るとか、さまざまな視点で見えてくるシーンもあると思いますのでおすすめです。

「飛鳥クリニックは今日も雨」第4話より
――最後に、監督の作品に感化されて映画界を目指す人もたくさんいると思いますので、そういう方々にメッセージをお願いします。
これだけたくさんのプラットフォームや表現するメディアが増えてくると、映画監督に憧れて映画界に入ってくる人はもしかしたら今後どんどん減るのかもしれません。でも、今回もそうですが、映画もドラマも人間同士が作っているので、森山未來さんや勝地涼さんや馬場ふみかさんなどの俳優、それからスタッフ、それぞれがアイデアを持ち寄って、みんなで考えたものが現場で生まれてきた時にすごく楽しさを感じるんです。
実際、歌舞伎町で撮影していて何かトラブルが発生したとしても、そこには共同作業している面白さが絶対にあるんです。もし、映画とかドラマの世界に入ってきたいという人がいたら、“人と作る”ということをぜひ楽しんでもらえたらいいんじゃないかなと思います。
【制作・編集:WEBザテレビジョン編集部】

入江悠監督

「飛鳥クリニックは今日も雨」第4話より

入江悠監督

「飛鳥クリニックは今日も雨」キービジュアル

入江悠監督
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