

5月28日、横浜BUNTAIで「NTTドコモPresents Lemino BOXING ダブル世界タイトルマッチ」が開催。セミファイナルでIBFスーパーフェザー級王座決定戦が行われ、力石政法(大橋/同級3位)がエドアルド・ヌニェス(メキシコ/同級1位)と対戦した。
力石にとっては大橋ジムへの移籍2戦目にして手にした世界初挑戦のチャンス。兄の矢吹正道(LUSH緑)が今年3月にIBF世界フライ級王者を奪取し、WBCライトフライ級王座を保持したまま日本人初に2階級同時王者となっており、今回の王座決定戦では矢吹との兄弟同時世界王者を目指した。
身長とリーチで上回る力石だったが、28勝(28KO)1敗という戦績を誇るヌニェスが圧力を掛けながら前進し、重みのあるパンチを放ってくる。じわりじわりと迫ってくるヌニェスに対して、力石はフットワークを使いながら対応。回り込みながらのフック、ヌニェスの打ち終わりを狙ってのカウンターなどで反撃し、うまく距離を取りながら試合を進めた。5R以降は接近戦に持ち込みながら重いパンチを繰り出してくるヌニェスに対し、力石も足を止めて打ち合うシーンが増えていく。しかし、パンチ力ではヌニェスが上、強烈なボディや左右のフックで押し込み、ハードパンチが力石を捉えるようになる。
8R以降は力石が再び足を使いながらリズムを作ろうとトライ。軽やかなフットワークと右ジャブ、左ストレートでペースを引き戻したかのように思われたが、10R開始早々に右の強打を食らうと、左右の連打で追い込まれてしまう。完全に足を止めての打ち合いからヌニェスが左右のフックや強烈なボディブローを繰り出す。力石も右フックや左ボディ、ショートアッパーで反撃したが、ロープに詰めたヌニェスが体重を乗せたパンチで追い込む。
そして運命の最終ラウンド。追い込んでくるヌニェスに対して力石はカウンターの右アッパー、左右のフックで反撃。ヌニェスも強烈なボディを見舞うが、力石の左フックがヒットしてヌニェスの動きが鈍る。足を止めて打ち合う両者。力石は最後の力を振り絞って左ボディ、左右の連打を繰り出すが、ヌニェスも追い込みながら距離を詰めていく。最後の最後まで打ち合ったところでゴングが鳴らされた。
試合は12Rで決着がつかず判定にもつれ込んだが、3-0でヌニェスが勝利。メキシコのハードパンチャーが王座決定戦を制し、自身初のベルトを手にした。力石はフットワークを使って持ち味を見せ、過去28勝すべてKO勝ちを収めてきたヌニェス相手に判定に持ち込む善戦を見せながら悔しい判定負け。惜しくも兄との同時世界王者には届かなかった。
試合後、会見に臨んだ力石は激戦の跡を顔に残しながら「相手のほうが一枚も二枚も上手だった。思うような動きと結果は出せなかったけど、スッキリしています」と完敗の弁。「ここまで全部KOで勝っている本当に強い選手で、打ち合ったら絶対に悪い結果になると思ったので、ずっとフットワークを使い続けて距離を取る作戦だった。そのためにしっかり走り込んでスタミナをつけてきた」と作戦を明かすが、4Rくらいから足が止まってしまったことで「ガードで攻撃を受けて疲れさせて、そのスキを狙って一発で倒す作戦に変えた」と戦略を修正したという。
だが、「大きいパンチだけはもらわないように」とガードを固めて受け続けた一方、「相手を見すぎて、(パンチを)受けすぎてしまった」と方向転換が奏功しなかったことも吐露。実際には力石もいいボディなどに手応えを覚えたものの、「(ヌニェスは)顔色を変えずに勇敢に前に出てきた。素晴らしい選手だなと戦いながらリスペクトしていた。そうとう練習しないとあんなタフネスさはないし、あれだけ前進してパンチは打てない。彼も僕以上に練習してきたんだなと思った」というほどの強さを感じたという。
初めての世界挑戦。兄弟同時王者を目指した戦いは実らなかった。すべてを出し切った上で、高い壁にも直面した。
「今のコンディションでやれることはやれた。やっぱり世界の壁は高いと思いましたし、世界チャンピオンって特別なものだなと。実力だけじゃなく、精神的にも強くないといけない。移籍して2戦目で世界戦を組んでもらって、最高の環境でやらせてもらったのに泥を塗ってしまった。(自分としては)はやり切っていて、また世界を目指すとは言えないし、また頑張ろうという気持ちにもなれない。今は何とも言えないです」
記者会見後、勝者として壇上に向かうヌニェスとすれ違った際に「コングラチュレーションズ」と声を掛け、目をうるわせながらハグ。すべてを出し切りながら越えられなかった高い壁に悔しさを滲ませた表情が印象的だった。
写真:Lemino / SCOND CAREER
【制作・編集:Blue Star Productions】


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