
サンフレッチェ広島・中島洋太朗 (C)Jリーグ“ドラマティック・サンフレッチェ”。今シーズンのJリーグYBCルヴァンカップにおける広島を表現するならば、いささか陳腐ではあるけれど、こういう形容をついしたくなる。
プレーオフラウンドのアビスパ福岡戦、プライムラウンド準々決勝の湘南ベルマーレ戦は、いずれもアウェイでの初戦に敗れながら第2戦のホームで勝利して勝ち上がりを決めた。
福岡との第2戦はまさに劇的。89分に加藤陸次樹が退場してしまったものの、相手にも退場者が出る106分まで数的不利な状況で耐え抜き、PK戦でも相手に先行されながら逆転した。最後のキックを止めたGKチョン ミンギが「僕の後ろにはこんなにたくさんのGKがいた」とホームのサポーターに向かって述べた感謝の意は、広島を一つにした名言だ。
準決勝では第1戦で中島洋太朗、第2戦で田中聡という若き主力を負傷で失いながら全員の力で横浜FCを撃破。2022年以来、3年振り4度目となる決勝進出を決めた。代表活動の影響で大迫敬介や荒木隼人、キム ジュソンらの大黒柱を欠きながら国立に辿りついたのは、チーム力の証と言える。
リーグ戦では得点力不足に苦しむ広島だが、ルヴァンカップでは1試合平均2.0得点と爆発傾向にある。中野就斗が3得点、加藤とヴァレール ジェルマン、ジャーメイン良が2点ずつと、得点者も満遍ない。
広島にとってはクラブ史上2人目のニューヒーロー賞受賞となった中島も1得点2アシスト。湘南戦で木下康介のゴールを生んだ鮮やかすぎるワンタッチ・スルーパス。横浜FC戦で全くGKが見えない位置から感覚だけで叩き込んだシュート。見ている者をプレーで驚愕させ、興奮させる19歳のファンタジスタは、一方で口下手な素顔も見せる。
10月23日に行われたニューヒーロー賞の受賞会見でも、小さな声でポツリポツリ。彼自身は一生懸命に話してはいるが、なかなか会話が弾まない。ただ時折、ツボにはまる答えが返ってくるのが堪らない。
2006年のルヴァンカップ(当時はヤマザキナビスコカップ)でジェフユナイテッド千葉のレギュラーとして優勝に大きく貢献した父・中島浩司さんとのやりとりについて聞かれると、微笑みを浮かべた。
「父は誰に聞いたのか分からないですけど(受賞を事前に)知っていて、『お前、ニューヒーロー賞を受賞したらしいよ』って言われました。僕もその時はもう知っていたので『聞いた』。それで終わりました(笑)」
「賞金50万円の使い道は?」
「うーん……生活費ですかね」
ファンタジスタの面目躍如というべき意外性のある答えの連発。チームメイトからの祝福についても「誰にも言ってないので、何もなかった」と淡々と語った。
「(田中)サトシくんからは今日の練習後に『どっか行くの?』って言われたので、『ニューヒーロー賞受賞の記者会見がある』って話したんです。でも、特にお祝いコメントはなかったです(笑)」
この件について田中に聞くと「あいつにおめでとうと言っても、何か返事が返ってくるわけじゃないので」と苦笑い。「でも、賞をもらって当然のプレーをしていたので」とニューヒーロー賞受賞に対して驚きはなかったと言う。
その田中はルヴァンカップ準決勝第2戦で脳しんとうに加えて顔面骨折も併発。同第1戦で左太腿裏の肉離れを発症してしまった東俊希とともに決勝出場は微妙かと思われたが、両選手とも10月25日に行われた明治安田J1リーグ第35節の横浜F・マリノス戦で復帰して健在をアピール。特に東は2022年の決勝時に左下腿コンパートメント症候群(一時は左足切断の危険性もあった)という大ケガを負い、ベンチにすら入れなかった。
「国立競技場のスタンドから見ていただけで、優勝の瞬間はすごく興奮した。今度はピッチの上で感激したい。自分のプレーで鳥肌を立たせたいですね。サポーターにも、そして自分自身にも」
決勝の相手となる柏とは、今シーズンのリーグ戦2試合でともに引き分け。どちらの試合でも決定機やシュートの数では広島が上回っていたが、チャンスを決めきることができなかった。ただ東は、ホームゲームで美しいボレーシュートを決めきり、3月度のJ1月間ベストゴール賞に輝いている。この時のように右ワイドの中野からのクロスを左ワイドの東がシュートというダイナミックなシーンが見られたら、広島に大きなチャンスが生まれるだろう。もちろん、広島のベースである強力な3バック+大迫敬介が柏の破壊力を抑えることが前提だが。
「勝ってタイトルを取って、サポーターの皆さんと一緒に喜びを分かち合いたい」
ニューヒーロー賞の中島は記者会見でこう言い切った。彼の師匠格であるトルガイ アルスランも「タイトルを取り、カップを広島に持って帰る」と語った。
8月~10月にかけて3カ月で18試合という過密日程をこなし、心身の疲労がチームを蝕むのも事実。だが、その厳しい状況でも選手たちを信じ、闘ってくれるサポーターとともに、紫の戦士たちが国立競技場のピッチに立つ。
文=中野和也(紫熊倶楽部)
【制作・編集:Blue Star Productions】
(C)Jリーグ【2025JリーグYBCルヴァンカップ 決勝】Leminoで無料見逃し配信!
視聴ページはこちら
関連ニュース
カップを広島に持って帰る──リーグ最少失点の堅守を誇る“ドラマティック・サンフレッチェ”が3年ぶりの戴冠を狙う【2025 JリーグYBCルヴァンカップ決勝/広島プレビュー】Newスポーツ
どん底からルヴァンとリーグとの二冠達成へ──「Jリーグで一番面白い」と評判の柏レイソルが新時代を切り拓くカップを目指す【2025 JリーグYBCルヴァンカップ決勝/柏プレビュー】Newスポーツ
ルヴァンカップ決勝はどこで見れる?テレビ放送・ネット配信Newスポーツ
ルヴァンカップ決勝はいつ?試合日程・対戦カード・放送予定Newスポーツ
【10月30日】八村塁出場予定 ウルブスvsレイカーズのテレビ放送・ネット配信|NBA 2025-26スポーツ
Leminoのサッカー配信予定は?今日・今週の試合一覧スポーツ
【10月28日】レイカーズvsブレイザーズのテレビ放送・ネット配信予定|NBA 2025-26スポーツ
過去のJ1昇格チーム・J3降格チームまとめ|明治安田J2リーグスポーツ
【無料視聴】Leminoで明治安田J3リーグの全ゴールハイライトを配信中!スポーツ
【2025】明治安田J3リーグ得点ランキングスポーツ
明治安田J3リーグ2025 順位表スポーツ
明治安田J3リーグ 2025年試合日程・テレビ放送・ネット配信予定スポーツ
【10月27日】キングスvsレイカーズのテレビ放送・ネット配信予定|NBA 2025-26スポーツ
歴代J2昇格・JFL降格チームは?昨年の結果まとめ 明治安田J3リーグスポーツ
【10月26日】サンダーvsホークスのテレビ放送・ネット配信予定|NBA 2025-26スポーツ
【10月26日】ガイナーレ鳥取vsテゲバジャーロ宮崎の放送・配信予定・キックオフ時間|明治安田J3第33節スポーツ
最新ニュース
「お母さんを殺したのは…」まさかの真実にゾッ。ファジン(ハン・スア)に迫る危機『ファーストレディ』第10話New韓流・アジア
ついにひき逃げ事件の犯人が判明…後半に明かされる“まさか”の真実『ファーストレディ』第9話New韓流・アジア
イ・ミニョン“へリン”、報道陣の前で爆弾発言「殺したのは私です」クライマックス直前に急展開<ファーストレディ>New韓流・アジア
淫夢から始まる誕生日!?30代に突入し、人生の先輩たちから激励される妻(松村沙友理)『今日もふたり、スキップで』第7話Newドラマ
ユジン“スヨン”&チ・ヒョヌ“ミンチョル”にそれぞれ特大スキャンダル発覚「信じられない。ヤバ過ぎ!」の声<ファーストレディ>New韓流・アジア
橋本将生“巧巳”の恒松祐里“眞希”への『あなたを守る』発言に「堕ちちゃうの!?」「心臓もたん」と反響<ひと夏の共犯者 第3話>Newドラマ
些細なことにもなぜかイライラしてしまう妻(松村沙友理)に夫(白洲迅)は…『今日もふたり、スキップで』第6話Newドラマ
八木勇征“旬”が記者会見で堂々と発言をしたシーンに「カッコイイ」「素敵です」と視聴者盛り上がる<推しが上司になりまして フルスロットル 第2話>Newドラマ
武田梨奈“ワカコ”が昼と夜で表情が異なる店へ、酒がグイグイと進む姿がほほ笑ましい<ワカコ酒 Season9>Newドラマ
ワカコ(武田梨奈)、森の中にいるような粋なホテルのハイボールに「ぷしゅ~!」『ワカコ酒 Season9』第4話Newドラマ
RIIZEメンバーの絆が試される!?召使派のスパイは誰?『BOSS RIIZE : SHANGHAI IMPOSSIBLE』第3話Newエンタメ
殺人疑惑の“推しのアイドル”と同居生活…橋本将生 (timelesz)主演『ひと夏の共犯者』第2話Newドラマ
カップを広島に持って帰る──リーグ最少失点の堅守を誇る“ドラマティック・サンフレッチェ”が3年ぶりの戴冠を狙う【2025 JリーグYBCルヴァンカップ決勝/広島プレビュー】Newスポーツ
ワカコ(武田梨奈)、昼はお魚屋さん、夜は飲み屋さんになる店で「ぷしゅ~!」『ワカコ酒 Season9』第3話Newドラマ
高橋洋子、北宇治カルテット出演決定「ANIMAX MUSIX 2026 OSAKA supported by Lemino」 第3弾出演者発表New音楽
9月のLemino韓流・アジア人気ランキング発表!! 『Dating Game~口説いてもいいですか、ボス!?~』 ディレクターズカット版が3ヵ月連続で1位にランクイン!New韓流・アジア