
※ザテレビジョン撮影川口春奈
川口春奈が主演を務める映画「ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記」が10月2日(金)に公開される。これまで川口は、Leminoで配信中の「着飾る恋には理由があって」(2021年、TBS系)などで、華やかな姿の奥にある繊細な感情を表現してきた。新作映画で演じるのは、強さと弱さを抱えながら懸命に「今」を生きる女性。その歩みを、これまでの出演作から振り返る。(以下、過去出演作のネタバレを含みます)
映画の原作は、21歳でステージIVの大腸がんを宣告された遠藤和(のどか)さんが、亡くなる10日前まで書き続けた同名手記。夫との結婚や妊娠、出産、限られた時間の中で育まれた家族の愛をつづった実話を基にしている。
10代から俳優として頭角を現す
ファッション雑誌「ニコラ」の第11回モデルオーディションでグランプリを受賞した後、14歳で13代目「リハウスガール」と「ポカリスエット」のイメージキャラクターに選ばれた川口は、すぐに注目を集めた。俳優としても2011年放送の「桜蘭高校ホスト部」(TBS系)で連続ドラマ初主演を果たし、早くから頭角を現す。
2013年放送のドラマ「夫のカノジョ」(TBS系)では、ゴールデンタイムの連続ドラマに初主演。当時18歳で、家族ドラマの中で“母親”役を担った。正確には、川口演じる20歳の派遣社員・山岸星見と、鈴木砂羽演じる39歳の主婦・小松原菱子の体が入れ替わる設定で、外見は若いまま、夫と2人の子供を思う母親の内面を演じることになった。
周囲に入れ替わったことを隠したまま、子供のことで心を痛め、時には慌てる。姿は違えど、まなざしや表情で揺らがない母親の愛情を伝えた。一方、外見は夫の部下・星見であるため、愛する夫のそばにいながら妻だと気付いてもらえない切なさや嫉妬心もにじませる。
家族を心配する母性と夫を思う女性の寂しさを、コミカルな物語の中で表現したのだ。18歳の俳優にとっては高難度な役柄だったはずだが、全身で感情を放つ思い切りの良さに加え、笑いの奥に家族への深い愛情を宿らせ、現在の彼女につながる片鱗を見せていた。
※ザテレビジョン撮影川口春奈
「着飾る恋には理由があって」で見せた、華やかさの奥にある素顔
その魅力がさらに開花したのが、ドラマ「着飾る恋には理由があって」だ。演じた真柴くるみは、インテリアメーカーの広報として、会社の宣伝のためにSNSで多くのフォロワーを獲得しているインフルエンサー。華やかな洋服に身を包み、毎日欠かさず発信する姿は自信に満ちて見える。しかし実際は、周囲から求められる“理想の自分”を演出するために懸命に背伸びをしていた。
今作が大きく支持された理由は、川口がくるみという女性の内面を丁寧に浮かび上がらせていったところにある。スマホの画面を通して見れば、くるみは「キラキラ女子」だが、実像は仕事に実直に向き合う努力家。SNSの更新も経験に裏打ちされたスキルであり、決して軽率に発信しているわけではない。
一方、シェアハウスに帰れば床に座り込み、疲れをあらわにし、感情のままに食べて泣く。“着飾る”行為の裏側にある努力と寂しさを体現した。象徴的なのが、第1話で藤野駿(横浜流星)の作ったカレーを食べる場面。憧れの葉山祥吾社長(向井理)の突然の退任によって張り詰めていた糸が切れ、くるみは「おいしい」と言いながら涙をこぼす。
ここで大げさに泣き崩れるのではなく、無防備な表情だけで、彼女がどれだけの思いを抱えていたのかを表現し、視聴者の心をつかんだ。
さらに、駿への恋心やSNS炎上後の不安を演じる際も、セリフだけでなく、視線や声、笑顔が消えるまでのわずかな間でくるみの心情をにじませる。親しみが湧き、思わず応援したくなるキャラクターを生み出す一方、ささいな表情の変化で視聴者を引き付け、俳優としての存在感を確立した一作となった。
「silent」で際立った繊細な表現
翌年放送された「silent」(2022年、フジテレビ系)では、その表現がさらに繊細になる。川口演じる主人公・青羽紬は、高校時代に恋した佐倉想(目黒蓮)と8年ぶりに再会するが、想は若年発症型両側性感音難聴によって聴力をほぼ失っていた。
紬が手話で思いをぶつける想を前に、意味を理解できないまま涙を流す第1話は強烈だった。再会の喜び、戸惑い、失った時間への痛みを、呼吸と視線だけで表していく。言葉を交わせない場面だからこそ、表現の確かさが際立つこととなった。
そして10月2日(金)公開の映画「ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記」では、21歳でステージIVの大腸がんを宣告されながらも、夫・将一さんとの愛や、生まれてくる子供への思いを胸に、過酷な運命に全力で立ち向かった和さんを演じる。
「着飾る恋には理由があって」から新作映画まで。川口が“鎧の内側にある素顔”をどのようにすくい取ってきたのか、あらためて触れてみてはいかがだろうか。
【制作・編集:WEBザテレビジョン編集部】
※ザテレビジョン撮影川口春奈
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